善人たれ
わたしが仕事をはじめて抱いた印象は「良い人が多いな」でした
横浜の聖光学院の校訓が「紳士たれ」ですが、
うちの職場に置き換えると「善人たれ」という感じです。
わたしは学生時代からこの団体に関わっていたのですがサマーキャンプにはじめて行ったときの印象は「変な人が多いな」でした
学生部ではきっと「変人たれ」だったのだと思います
わたしは学生部に入って、一緒にいることで相乗効果を得られる、変わった人にたくさん出会いました
空気は読まないけど宇宙に詳しい女の子
金が好きだから商学部に入った後輩
不潔で何言ってるか分からない関西人
元気な右翼と呼ばれていた先輩、
他者の圧倒的な個性に触れて、自分も自分らしくいていいんだと安心しました
それまでは女子大の限定的なコミュニティで、
他大学の男子学生が求めているのはルックスと女の子らしい立ち振る舞いでした
そしてそれが圧倒的な正義でした
ここで大事なのは考える頭があることです
そして表現することです
学生部のひとは自分の言葉を持っていました
上手い下手は別として、自分の言葉で語ろうという意思がありました
議論していて、本当に正直に思ったことを言っている
そしてそれがどんな意見でも周りが気にしない
でも仕事をはじめたら、そこには変人は少なくて、自分の言葉を隠す人も多くて、中庸の立場を取る人がほとんどで
そういう人が評価されていました
みんな個性をもっているのに、善人であれという風潮、ポジティブな多数派が意見を殺してるように思います
わたしは意見を言わないことが、1番楽で、丸く収まる方法なんだと感じました
わたしははじめての職場がここだったから分かりません。
組織に属するということは、組織に馴染むということは、自分にシーツを被せて生きることなんでしょうか
本当にそう思ってるのかな
良い人でいたいだけなんじゃないかな
批判されるのがこわいのかな
周りと違うことを言えば空気が読めない奴、面倒なやつのレッテルを貼られるのかな
自分は性格が悪いのかな
この言い方は誰かを傷つけてしまうかも
自分が知らないだけでみんなは知ってるかも
間違いを指摘されるかも
こんなふうに考えてしまうと
発言の制約が生まれます。
わたしはいま、自分が本来どんな性格だったのかよく分かりません。
前は面白いことを考えたり、人を笑わせたりふざけたりするのが好きだったのに
いまは人に話しかけられるのがこわくて、
みんなに無視してほしくて、
なにも話さないでいることが1番楽です